暗号資産の送金事故は、「知らなかった」では済まされません。
- ネットワーク違い
- アドレス改ざん
- MEMO / TAG 未入力
- 非対応チェーン
- スマホ操作ミス
これらの多くは、送金した瞬間ではなく、数時間〜数日後に「詰んだ」と気づきます。
そして一度詰むと、資産が戻らないケースが大半です。
この記事では、実際に「助からなかった送金事故」だけを集め、
- なぜ起きたのか
- なぜ助からなかったのか
- どの時点で詰んだと気づいたのか
- どうすれば生き残れたのか
を、現実ベースで解説します。
送金経験がある人ほど、「自分は大丈夫」と思っている人ほど、最後まで読んでください。
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なぜ暗号資産の送金事故は「取り返しがつかない」のか
暗号資産の送金は、一度ブロックチェーンに記録されると基本的に取り消しができません。
銀行振込のように「間違えたので戻してください」は通用しません。
- 正しいアドレス → 正しく届く
- 間違ったアドレス → 永久に戻らない
この極端な世界で、私たちは日常的に数十万、数百万円、時にはそれ以上の資産をワンクリックで動かしています。
事故が起きる理由は単純です。
人間の確認能力を超えた作業を、慣れた感覚でやってしまうからです。
📍 この記事の読み方ガイド
記事内では、重要なポイントを3色のアンダーラインで色分けしています。
🔴 赤:絶対に避けるべきリスクと警告
資産の大幅な目減り、手数料の落とし穴、初心者が陥りやすい失敗例
🟡 黄:判断に必要な具体的な数字
スプレッド率、送金手数料、実質的な損失額などの数値データ
🔵 青:今すぐ実践できる対策
取引所の選び方、コストを抑える方法、少額投資で失敗しない考え方
送金前に必ず確認すべき大前提
端末・通信環境の健全性チェック
ここが最も重要です。どれだけ慎重に確認しても、端末や通信環境が汚染されていれば、すべての確認が無意味になります。
🔴 端末のマルウェアチェック(必須)
マルウェアが入った端末での送金は、どんな確認をしても無意味になります。
- アドレスをコピーしても
- Ctrl + F(Windows)/ Command + F(Mac)で照合しても
- 表示を何度確認しても
端末が汚染されていれば、”正しい表示”そのものが信用できません。
送金前・最低限の端末チェックリスト
✅ アンチウイルスソフトが入っているか
Windows / macOS / Android / iOS。OS標準だけに頼らない。
✅ 定義ファイルは最新か
更新されていない=意味がありません。
✅ フルスキャンを実施したか
クイックスキャンは不十分。時間がかかっても必須です。
✅ 不要な拡張機能を削除しているか
正体不明な拡張は削除。「便利そう」は危険ワードです。
✅ 最近インストールしたソフトを振り返る
覚えのないもの、使っていないもの。
よくある感染ルート
「自分はウイルスなんて踏まない」という認識が一番危険です。
マルウェア感染は本人が気づかない形で起きます。
- 正規サイトを装った広告
- 検索結果上位の偽サイト
- フリーソフトの同梱インストーラ
- PDF・Excelファイル
- ブラウザ拡張機能
- 無料VPN/無料ツール
「普通に使っていただけ」で入ります。
🔴 通信環境の確認(公共WiFi・外出先での送金は原則NG)
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公共WiFiは「安全な回線」ではない
結論から言います。公共WiFiは送金・ログイン・署名操作を行う場所ではありません。
公共WiFiで実際に起きうるリスク
① 通信の盗聴(パケットスニッフィング)
同じWiFiに接続している第三者が通信内容を盗み見る可能性があります。HTTPSでも油断は禁物です。
ログイン情報・トークン・操作内容が漏れる危険性があります。
② なりすましWiFi(偽アクセスポイント)
「Free_WiFi」「Cafe_WiFi」「Airport_Free」
一見それっぽいSSIDでも、運営元が不明なWiFiは危険です。
攻撃者が用意したWiFi、「Free_WiFi」・「Cafe_WiFi」・「Airport_Free」が、公共WiFi・フリーWiFiだと騙されて、自ら接続してしまうケースもあります。
③ 中間者攻撃(MITM)
通信内容を攻撃者が途中で改ざん。表示されている内容が本物とは限りません。
結果、送金先アドレス・確認画面・承認内容、すべてが信用できなくなります。
外出先での送金を避けるべき理由
- 外出先で急ぎの送金
- 公共WiFiに接続
- ウォレットや取引所にログイン
- その場では問題なし
- 数時間〜数日後、不正送金・不審な操作に気づく
この時点で詰んだことに気づく人が多い。
どこで漏れたか特定できず、通信経路が第三者管理で、本人操作として処理されるため、補償対象外になることがほとんどです。
VPNを使う場合の注意点
VPNとは?
通信を暗号化し、第三者から中身を見えなくする仕組みです。
VPNを使う意味:
- 通信内容の盗聴防止
- 中間者攻撃のリスク低減
- 偽WiFi利用時の被害軽減
“裸で通信しない”ための最低限の防具ですが、万能ではありません。
⚠️ 重要:無料VPNは使わない
- 通信内容を記録される可能性
- 逆に情報を抜かれる例も多数
- 運営元不明
無料VPNは危険度が上がる場合すらあります。
結論:外では送金しない
最も確実な対策はこれです。
- 外では送金しない
- 急ぎでも送らない
- 少額でも送らない
- 慣れていても送らない
「後でやる」を選べる人だけが、この界隈から生き残れます。
助からなかった送金事故の実例
ここからは、実際に多発している”助からなかった事故”をひとつずつ見ていきます。
実例① USDT ネットワーク違い送金事故
――「同じ通貨名」という最大の罠
USDTは、送金事故の中でも特に被害が多い通貨です。理由は単純で、USDTという同じ通貨名のまま、複数のネットワークが存在しているからです。
何が起きたのか
USDTを送金する際、送金者は次のように考えました。
「BEP20(BNB Smart Chain)の方が送金手数料が安い」
「前もUSDTで送れた」
そして、BEP20に対応していない取引所へBEP20で送金してしまいました。
送金処理自体は成功します。トランザクションも正常です。ブロックチェーン上では、何も問題はありません。
USDTには複数のネットワークが存在する
USDT は「同じ通貨名」でありながら、以下のように複数のネットワークが存在します。
- ERC20(Ethereum)
- TRC20(Tron)
- BEP20(BNB Smart Chain)
- Polygon
- Arbitrum
- Optimism
- Solana(USDT-SPL)
さらに厄介なのが、取引所ごとに対応ネットワークが違うという点です。
例:
- 取引所A:ERC20 / TRC20対応
- 取引所B:ERC20のみ
- 取引所C:BEP20対応だが出金不可
この差を理解しないまま送ると、正しいアドレスでも資産は消えます。

どの時点で「詰んだ」と気づいたのか
問題が発覚するのは、「いつまで経っても着金しない」と感じたその後です。
- 数時間〜数日待っても着金しない
- トランザクションは「成功」表示
- 取引所に問い合わせて初めて「そのネットワークは当社では非対応です」と告げられた瞬間
この時点で、多くの人は初めて理解します。通貨名が同じでも、ネットワークが違えば別物だったという事実を。
なぜ助からなかったのか
送金先が以下の条件だったためです。
- 個人ウォレット(自己管理)
- 非対応ネットワーク
- 取引所も第三者も介在しない
つまり、誰にも触れない領域に送ってしまった状態です。
この事故を防ぐ現実的対策
USDTは「通貨名+ネットワーク名」をセットで確認する
「USDTを送る」ではなく、「USDT(TRC20)を送る」までが1セットです。
送金前に両方の対応ネットワークを確認
送金前には必ず:
- 送金元: 今、自分が持っているUSDTは「どのネットワークか」
- 送金先: その取引所・サービスは、どのネットワークのUSDTに対応しているか
両方を確認してください。片方だけでは意味がありません。
取引所の「入金ページ」を必ず見る
入金ページにあるネットワーク選択欄・注意書きを必ず確認してください。
「USDT対応」と書いてあっても、どのネットワークかは別問題です。
少額テスト送金を必ず行う
本送金前の唯一の安全装置です。
テスト送金で確認できること:
- 通貨名
- ネットワーク
- アドレス
- MEMO / TAG
- 受取側の内部処理
これらを一括でチェックできる方法は他にありません。
面倒でも、これを省略した瞬間に事故の確率は一気に跳ね上がります。
実例② アドレス改ざんマルウェア被害
――「確認したつもり」が通用しない理由
何が起きたのか
正規の送金先アドレスをコピー。貼り付けたアドレスも見た目は同じ。
しかし実際には、途中の文字列だけが攻撃者のアドレスに差し替えられていました。
送金先は、正規の相手ですらない、第三者のウォレットです。
なぜ起きたのか
クリップボード監視型マルウェアは、次のように動作します。
- アドレスの先頭数文字
- アドレスの末尾数文字
を一致させたまま、中間部分だけを書き換えます。
多くの人は「最初と最後を見て確認」しているため、この手口に気づきません。

アドレス改ざんマルウェアの恐ろしさ
この事故の特徴は、送金者が「ほぼ完璧に確認したつもり」だったことです。
- アドレスはコピー&ペーストした
- 先頭と末尾の文字も確認した
- 確認画面・確認メールも見た
- 過去にも何度も送金経験があった
それでも、送金先は「正規の相手」ですらない第三者のウォレットでした。
どの時点で「詰んだ」と気づいたのか
- 送金したつもりの相手から「まだ届いていない」と言われ
- ブロックチェーンを確認して初めて別アドレスに着金していると判明
- この瞬間に詰みを自覚
なぜ「照合」が無意味になるのか(重要)
多くの人は「最終確認画面で確認すれば大丈夫」と思っています。
しかし、その最終確認画面に表示されているアドレス自体が、すでに改ざん後であるケースがあります。
さらに厄介なのは、そのアドレスをコピーして Ctrl + F(Windows)/ Command + F(Mac)で照合しても、完全一致してしまう点です。
なぜなら:
- アドレスをコピーした時点で → すでに改ざんされている
- 送金画面に表示されるアドレスも → 改ざん後のもの
- 確認メールに記載されるアドレスも → 改ざん後のもの
つまり、「改ざんされたアドレス同士を完全一致で確認している」だけなのです。
Ctrl + F / Command + F は「正しいかどうか」を保証するものではありません。
なぜ助からなかったのか
- 送金先は第三者
- 完全に自己管理ウォレット
- 取り消し不可
この事故を防ぐ現実的対策
前後数文字チェックだけでは不十分
先頭4文字だけ確認、末尾4文字だけ確認は、マルウェア対策として完全に不十分です。
正しいアドレスを「別経路」で保持しておく
送金先の正しいアドレスを、送金操作とは別の経路・別の端末で保持しておく必要があります。
アドレス照合の正しい手順
この手順が非常に重要です。
- 送金先の正しいアドレスを表示(送金元の公式画面)
- 送金手続きを進め、最終確認画面 or 確認メールを開く
- 最終確認画面・確認メールに表示されたアドレスをコピー
- 送金元側の正しいアドレスが表示されている画面で、Ctrl + F(Windows)/ Command + F(Mac)を使って検索
- 全文一致を確認
このとき重要なのは、先頭や末尾だけを見るのではなく、中間の数文字(ここが最重要)と、その前後の文字列を確認することです。
別端末での照合も有効(条件付き)
送金最終確認画面や、送金手続き完了前に届く確認メールに表示されたアドレスをコピーし、本来の正しい送金先アドレスが表示されている別端末・別環境で Ctrl + F / Command + F による全文一致確認を行う方法も有効です。
ただし重要な条件:
この方法は、送金元アドレスを表示している環境がマルウェアに感染していない場合に限り有効です。
同じPC・同じブラウザ環境で、アドレス取得・送金操作・照合をすべて行っている場合、クリップボード改ざん型マルウェアに感染していると、すべてが改ざん後のアドレスで一致してしまう可能性があります。
そのため、この方法は:
- 別端末
- 別ブラウザ
- 公式アプリやハードウェアウォレット画面
など、独立した表示元で行うことが前提条件です。
送金環境を分離する
- アドレス取得:スマホ
- 送金操作:PC
またはその逆。同一端末・同一環境で完結させない。
端末のマルウェア対策を徹底する
感染リスクを減らすため:
- 送金専用PCの使用
- 常駐ソフト最小化
- 最新のアンチウイルスソフト導入
- 定期的なフルスキャン
実例③ MEMO / TAG 未入力による送金事故
――「アドレスは合っていたのに」届かない理由
何が起きたのか
XRPやXLMで非常に多い事故です。
- アドレスは正しい
- ネットワークも正しい
- 送金履歴も成功
それでも着金しません。
原因は、送金元が指定するMEMO / TAGを入力していなかった、それだけです。
MEMO / TAG とは何か
送金元(取引所・サービス)が指定するMEMO / TAGの入力も必要になります。
これは任意ではありません。
- アドレス → 建物
- MEMO / TAG → 部屋番号
という関係です。
アドレスだけでは「どの部屋(ユーザー)宛か」を特定できない仕組みになっているのです。
なぜ起きたのか
よくある誤解:
❌ アドレスは合っているから大丈夫
❌ 前回はいらなかった
❌ 小額だから
❌ 入力欄が小さい
❌ 今回は要らなそう
これらはすべて危険な思い込みです。
MEMO / TAG は、アドレスとセットで初めて「完全な送金先情報」になります。
どの時点で「詰んだ」と気づいたのか
- 送金履歴は成功
- しかし残高に反映されない
- 取引所に問い合わせて「MEMOがないため、どのユーザー宛か特定できません」と言われた瞬間
なぜ助からなかったのか
MEMO / TAG が無い場合:
- 取引所やサービス側で誰の入金か判別できない
- 結果として着金処理されない
- 資産は取引所の管理下にあるが、どのユーザーのものか不明
つまり、未入力=未着金と同義です。
これは仕様であり、バグではありません。サポート対応で助かるケースもありますが、必ず戻る保証はありません。
この事故を防ぐ現実的対策
MEMO / TAG が必要な通貨を理解する
人気のXRPやXLM(ステラ)などで送金をする場合は、必ずMEMO / TAG の有無を確認してください。
MEMO / TAG が必要な主な通貨:
- XRP(リップル) → Destination Tag
- XLM(ステラ) → MEMO
- ATOM(コスモス) → MEMO
- BNB(一部取引所) → MEMO
- EOS → MEMO
送金画面をよく見る
送金画面に MEMO / TAG 欄が表示されている場合、それは必須入力と考えてください。
「任意かもしれない」という判断は危険です。
送金元の指定を必ず確認
送金元(送金先の取引所・サービス)の入金ページに、MEMO / TAG の記載がある場合、必ず入力してください。
アドレスが合っていても MEMO / TAG が無いと資産は消えます。これは仕様であり、ミスではありません。
少額テスト送金で MEMO / TAG も検証
テスト送金では:
- アドレス
- ネットワーク
- MEMO / TAG
すべてを同時に検証できます。
実例④ スマホ操作ミスによる履歴流用送金事故
――「前も同じだった」という油断
何が起きたのか
過去の送金履歴をタップし、「前と同じだから大丈夫」と判断。
実は:
- 送金先が違う
- ネットワークが違う
- MEMO/TAGの条件が変わっていた
なぜ起きたのか
スマホ操作による事故が増えている背景には、スマホ特有の操作環境があります。
① 履歴は「安全なショートカット」ではない
スマホでは、過去の送金履歴・最近使用したアドレスが簡単に選べます。
しかし:
- 相手がアドレスを変更していた
- ネットワークが変わっていた
- 履歴の中に別のアドレスが混ざっていた
というケースは、珍しくありません。
② 画面が小さく、全文確認が困難
スマホ画面では:
- アドレスが途中で省略される
- 前後数文字しか見えない
- スクロールしないと全体が確認できない
という制約があります。
その結果、「前後が合っているから大丈夫」という危険な判断をしやすくなります。
③ 「前も同じだった」という思い込み
この事故の核心は、技術ではなく心理です。
- 前回は問題なかった
- いつもの相手だから
- 忙しいから早く済ませたい
この油断が、確認作業を省略させます。
どの時点で「詰んだ」と気づいたのか
- 着金しない
- 履歴を見返して「あれ、前と違う…」と気づいた時
- 送金先に確認して「届いていない」と言われた時
なぜ助からなかったのか
- 個人ウォレット宛
- 誤ったネットワーク
- 結果、回収不能
誤送金先は個人ウォレット。管理者はいない。サポートも存在しない。
つまり、誰にも問い合わせられない場所に資産を送ってしまった状態です。
この事故を防ぐ現実的対策
スマホで「履歴選択」は原則しない
過去の履歴は:
- 便利
- 早い
- しかし安全ではない
と理解してください。
特に以下の場合、履歴使用は事故率が跳ね上がります:
- 金額が大きい送金
- 初めての送金先
- 久しぶりの相手
アドレスは必ず「送金先から毎回取得」
- 送金先の公式画面
- 入金案内ページ
- 正式なウォレット表示
から、その都度コピーします。
「前と同じ」は、確認を省略する理由になりません。
スマホ送金では「少額テスト送金」を省略しない
スマホ操作は:
- 誤タップ
- スクロールミス
- 表示省略
など、人為ミスが起こりやすい環境です。
だからこそ、少額テスト送金は本送金前の唯一の安全装置です。
- テストが着金しない → 本送金しない
- 少しでも違和感がある → その時点で中止
スマホだけで完結させない
可能であれば:
- アドレス確認は PC
- 送金操作は スマホ
またはその逆。
環境を分けることで事故率は大きく下がります。
重要送金はPCで行う
金額が大きい送金ほど、スマホでやるべきではありません。
実例⑤ DeFi/コントラクト誤認による送金事故
――「送れると思った」「理解しないまま承認した」
何が起きたのか
DeFiサービスを初めて(または久しぶりに)使う際に:
- ウォレット:MetaMask
- チェーン:Ethereum系
- 送金対象:USDT(ERC20)
DeFi画面に表示された案内通りに:
- トークンを選択
- 「Approve(承認)」をクリック
- 次に表示された「Send」らしき操作を実行
MetaMaskには「トランザクション成功」「ガス代消費あり」と表示されました。
しかし、資産はどこにも届いていません。
何を誤認していたのか
この事故の核心は、DeFi操作の誤解です。
誤認① Approve=送金できたと思い込んだ
Approveとは、トークンを送る操作ではありません。
正確には:
「このコントラクトに、自分のトークンを動かす権限を与える」だけの操作です。
- 残高は移動しない
- 相手にも届かない
- ただ「鍵を渡した」状態
それにも関わらず、「成功って出たから送れた」と勘違いしました。
誤認② コントラクト=ウォレットだと思った
DeFiでは、送金先が人のウォレットではなくコントラクトアドレスというケースが多々あります。
しかしコントラクトは:
- 受け取って保管する
- 自動で返す
とは限りません。
想定された関数以外の送金は永久にロックされることもあります。
誤認③ 「SendできるならOK」という危険思考
MetaMaskでは:
- アドレス形式が正しければ
- チェーンが一致していれば
送信自体は可能です。
しかし、その送金が:
- 意味を持つか
- 受け取られるか
は、一切保証されません。
どの時点で「詰んだ」と気づいたのか
- 相手ウォレットにも自分のウォレットにも残高が存在しなかった
- ブロックエクスプローラーを見ても、送金先アドレスが存在しない
- 通常の Transfer と表示されていない
- つまり、”送金したつもり”だったが実際には送金していなかった
と確認した時点で詰みに気づきます。
なぜ助からなかったのか
この事故が助からない理由は明確です。
- 送金先は管理者が自由に返せる取引所ではない
- コントラクトの仕様外操作
- ロックされた資産は誰にも取り出せない
つまり、ブロックチェーン上では正常動作している事故です。
サポートに問い合わせても、「仕様です」「返金不可です」で終わります。
この事故を防ぐ具体的対策
DeFiで「直接Send」は原則しない
DeFiでは、送金・預け入れ・スワップ、すべてが専用の操作フローです。
画面外から手動でアドレスにSendする行為は原則NGと思ってください。
Approveは「鍵を渡す行為」だと理解する
Approveとは:
- 送金成功ではなく
- 操作権限付与
その後に、Deposit / Supply / Stake など、本命操作が別に存在します。
Approveだけで終わっていたら、何も起きていません。
コントラクトアドレスは必ず公式から取得
- 公式サイト
- 公式ドキュメント
- 公式X / Discord
以外から取得したコントラクトアドレスは使わない。
Google検索上位でも、偽物は普通に混ざっています。
少額テスト操作を「毎回」行う
DeFiでは、少額テスト=唯一の保険です。
- 操作が正しいか
- 資産が想定通り動くか
これを確認せずに本額を突っ込むのは、事故前提の行動です。
承認(Approve)の無制限付与を放置しない
事故後に追い打ちで起きるのが:
- 無制限Approve放置
- 悪性コントラクトによる吸い上げ
です。
定期的にApproveを確認し、不要なものはRevokeすることも必須です。
💡 送金以外にも、初心者が知らずに損する罠があります
送金事故と同じくらい危険なのが、「見えないコスト」です。 実は、取引所選びを間違えるだけで、1万円が実質千円になってしまうケースも。
例外的に「助かった」実体験
(※誰でも助かるわけではない)
過去に、現在はすでにサービス終了しているレンディングプラットフォームへ誤送金したケースがあります。
本人は送金ミスに気づかず、後日サポートとの別件やり取りで「実は以前、誤送金がありました」と指摘されて初めて発覚しました。
結果として:
- 内部管理型ウォレットだった
- サポートが対応可能だった
という条件が重なり、無料で正しい口座に反映されました。
このとき「あっ、誤送金しても簡単に戻せるんだ」と誤った認識をしてしまいました。
しかし後日、暗号資産の送金の仕組みを勉強して気づきました。
これは極めて例外的なケースで、とてもラッキーだったのだと。
しかしこれは
- 誰でも起きる
- 誰でも助かる
ケースではありません。
なぜ助かったのか
このケースで助かった理由は明確です:
- 取引所・サービス側の管理下にあった
- 個人ウォレットではなく、サービスのウォレット
- つまり、相手側が秘密鍵を持っていた
- サポートが気づいてくれた
- 本人は気づいていなかった
- サポート側の監視・確認体制があった
- 内部処理で対応可能だった
- ブロックチェーン上での取り消しではなく
- サービス内部のデータベース操作で対応
つまり、ブロックチェーンの不可逆性とは無関係の場所で起きた事故だったのです。
この事例が示す教訓はただ一つ
「違和感があれば、即サポートに連絡する」
これだけです。
サポートに連絡することは:
- 恥ではありません
- 迷惑でもありません
- 手遅れになる前の唯一の手段です
実際、内部管理型サービスでは、連絡が早ければ助かるケースも存在します。
上級者ですらやらかす
暗号資産送金・生存チェックリスト【完全版】

暗号資産の送金ミスは、「初心者だから起きる」のではありません。
- 慣れている人ほど
- 確認を省く
- 前回と同じだと思い込む
- 急いで処理する
その結果、取り返しのつかない事故が起きます。
ここでは、初心者・中級者・上級者という区分を一切捨てて、「生き残るために必ずやること」だけを整理します。
🔴 共通チェック(すべての送金で必須)
☐ 少額テスト送金を行ったか
本送金前の唯一の安全装置。
以下をすべて実際に着金するまで確認:
- アドレス
- ネットワーク
- MEMO / TAG
- 受取反映
「過去に成功した」は今回の安全を一切保証しない。
☐ 送金先ネットワークを文字で確認したか
アイコン・色・UIは信用しない。
- ERC20
- TRC20
- BEP20
- Polygon
- Arbitrum
“通貨名ではなくネットワーク名”を文字で目視確認。
☐ 送金元が指定する MEMO / TAG を確認したか
未入力=未着金と同義。
- XRP / XLM / ATOM などは特に注意
- 「今回は要らなそう」は通用しない
- MEMO / TAG はアドレスの補助ではなく送金識別情報
🟠 アドレス関連事故チェック
☐ アドレス全文を Ctrl + F(Windows)/ Command + F(Mac)で照合したか
見た目一致は信用しない。
以下を自分の目で照合:
- 先頭数文字
- 中間の数文字(最重要)
- 末尾数文字
前後だけの確認は、マルウェアに対して無防備です。
☐ 違和感を感じた瞬間に操作を中止したか
その時点で中止。
これができる人だけが、この界隈から生き残れます。
☐ アドレス取得と送金操作を別端末で行ったか
マルウェアリスク分散:
- 取得:スマホ
- 送金:PC
またはその逆。
🟡 マルウェア・通信環境チェック
☐ アンチウイルスで端末を確認したか
確認しない送金は、事故前提。
- PC
- スマホ
- ブラウザ拡張
一度もチェックしていない端末での送金は危険行為。
☐ 公共WiFi・外出先で操作していないか
通信が汚染された時点で、確認行為はすべて無意味になります。
外での送金は:
- 急ぎでも送らない
- 少額でも送らない
- 慣れていても送らない
☐ VPNを使用しているか(外で操作する場合)
無料VPNは使わない。有料の信頼できるVPNを選ぶ。
ただし、VPNは万能ではないことを理解する。
☐ 最終確認画面のアドレスを「目視」で確認したか
コピーはしない。
- コピー時点で改ざんされる可能性がある
- Ctrl + F / Command + F 用に使うのは送金元側の正規アドレス
🔵 DeFi操作チェック
☐ Approve=送金ではないと理解しているか
鍵を渡しただけ:
- 残高は動かない
- 送金も完了していない
☐ 「直接Send」していないか
DeFiでは原則NG。
必ず専用UIから操作:
- Deposit
- Stake
- Supply
☐ コントラクトアドレスを公式から取得したか
Google検索上位でも、偽物は混ざっています。
公式サイト・公式ドキュメント・公式SNS以外からは取得しない。
🟣 送金前の最終確認
☐ 「前も同じだった」と思っていないか
条件は毎回微妙に違います。成功体験が一番の事故要因です。
☐ ネットワークを「安いから」で選んでいないか
対応しているかどうかと、安いかどうかは無関係です。
☐ 急いでいないか
送金事故の大半は焦りから生まれます。
「後でやる」を選べることが、最大の安全装置です。
📧 サポート問い合わせ例文集
違和感を感じたら、遠慮なくサポートに連絡してください。
以下の例文をそのまま使っても構いません。各項目をクリックして日本語・英語のタブを選択して内容を確認できます。
✅ 問い合わせ時の重要なポイント
必ず記載すべき情報:- 送金日時(できるだけ正確に)
- 通貨名(BTC、ETH、USDTなど)
- ネットワーク(Bitcoin、Ethereum、TRC20など)
- 送金額
- トランザクションID(TXID)- 最重要
- ブロックチェーンエクスプローラーのスクリーンショット
- 送金画面のスクリーンショット
- 確認メールのスクリーンショット
- 丁寧な言葉遣いを心がける
- 自分の確認不足を認める姿勢
- 感情的にならない
- できるだけ早く連絡する
最後に
暗号資産の送金は、慣れた作業ではありません。
慣れたと感じた瞬間が、一番危険です。
生き残るために必要な3つの原則
- 違和感を感じたら止まる
- 理解できない操作はしない
- 少額テスト送金を省略しない
この3つを守れる人だけが、資産を守り続けることができます。
送金事故の本質
送金事故は「知識不足」ではなく「確認省略」で起きます。
- 前も同じだった
- 急いでいる
- 少額だから
これらはすべて、事故の入口です。
最後の警告
違和感があれば、その時点で中止。
これができる人だけが、この界隈から生き残れます。
この記事が、あなたの資産を守る一助となれば幸いです。
私が4年間使い続けている理由
送金事故のリスクを減らすため、私は暗号資産を頻繁に動かさない運用方法を選んでいます。
その中心がNEXOというレンディングプラットフォームです。
4年以上の利用で約$2,600の利息収益を得ながら、送金は年に数回程度。
送金回数を減らすことが、最大のリスク管理になると実感しています。
NEXOの詳しい始め方・安全性については
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最終更新:2024年12月
免責事項:本記事は情報提供を目的としており、投資助言ではありません。暗号資産の取引は自己責任で行ってください。




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